●裁判所の判決
遺族の「本件事故現場の道路が狭いため、対向車とすれ違った際に事故に至ったと考えられるものであり、アルコールの影響の寄与割合は5割以下である」という主張に対し、裁判所は「本件事故が対向車とすれ違う際の事故であったと認めるに足りる証拠はないから、免責条項を制限的に解し、事故原因に対する寄与割合に応じて共済金の半額の支払を命ずることを相当とする事由も見当たらない」として、控訴を棄却した。(東京高等裁判所第1民事部 平成7年1月30日判決)
●争点に対する判断
裁判所は「控訴人は、事故の発生に対するアルコールの影響割合は5割以下であるから、衡平の観点から保険金の半額を支払うべきであると主張するが、本件が対向車とすれ違う際の事故であったと認めるに足りる証拠はなく、主張の前提自体が認められない上、免責条項を制限的に解して保険金額の半額を支払うことを相当とする事由は見当たらず、結局本主張は控訴人(遺族)の独自の見解であって、採用することが出来ない」とした。
●hossieのワンポイント
被保険者が事故の直前にブランデーのボトルを1本飲み、これを空けた後さらに同じボトルを1本入れていること、また被保険者が事故を起こすまでの運転経路が、高度の運転技術を要する山道ではなかったことなどから、控訴人の控訴には理由がないとして、訴えが棄却されたものです。
第三者から見ると元々非常に苦しい主張であったように思えますが、飲酒運転に対する世間の見方はより一層厳しくなっており、これを受けて飲酒運転を巡る保険金の支払いに関する裁判所の判断は、今後さらに厳しいものとなる可能性があります。 |
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