|
【がん・医療保険の不払いについて】 |
|
|
||
●大量の不払いの発覚(2005年) 2005年度の金融庁検査によって、明治安田生命における保険金の大量の不払いが明らかになりました。その主な内容は@平成12年度から16年度の5年間において、本来支払うべきであったにも関わらず、支払いがなされていない保険金等が1,053件あった A被保険者ががん告知を受けるまで、がんに係る給付金と一般給付金の差額等について、契約者等からの申し出がないにもかかわらず、同社の独自の判断により支払いを留保するという、約款の規定にはない取扱を行ったうえに、留保事由が既に消滅した後においても未払いのままとなっている給付金が1,450件認められた というものです。 検査を行った金融庁の報告には、下記のように記されています。 (以下金融庁ホームページより抜粋) |
||
|
||
やや難しい表現になっていますが、特に問題なのは「保険金の支払いを抑制する具体的な数値目標を掲げており、不払い優先の風土が醸成された」ことと「不払いに対する苦情が数多く寄せられていたにもかかわらず、適切な対応を取らなかった」ことだと思われます。 加えて営業員の不告知教唆(2年経過すれば告知義務違反をしても給付金は支払われるので、告知しない方が良いといった募集話法と思われます)を把握しておきながら、十分な対応を取らなかったことが問題となりました。 ●保険金不払いによる影響 上記の不払いの発覚を受け、金融庁は明治安田生命に対して、平成17年11月4日から17日までの二週間の業務停止命令を発しました。 この事件により同社は顧客からの信頼を大きく損ね、二週間の業務停止という期間に相当する分以上の損害があった模様です。平成17年度の決算が厳しいものになったのみならず、その後も業績は低迷しています。 最も大切な保険金の支払いに対する不祥事ですので、当然と言えば当然かもしれませんが、この事件を契機として同社のみならず他の生保においても不払いを防止するための対応が取られることになりました。 ●新たな不払いの発覚 明治安田生命の不払い事件のほとぼりも冷めかけた平成18年の秋に、今度は損保会社における大量の保険金不払いが発覚しました。直前に約26万件にも及ぶ自動車保険の不払いがあったのですが、それに続いて大手六社で医療保険・がん保険商品で不払いがみつかり、その件数は過去5年間で4.365件、金額にして12億2千万円にも上りました。 損保各社はシステム体制の構築が不十分であったと弁明をしましたが、システムと言うと機会対応のようにも感じますが、査定は個別の判断が必要ですから1件ごとに人間が判断するものであり、不払いに対する恣意的な判断があったと疑われても仕方はありません。 損保は自動車保険の不払いが186億円もあったうえに、火災保険の掛けすぎなどの問題も指摘されており、目に余る顧客軽視とマスコミからも糾弾を受けました。 ●消費者(契約者)側の対応策 消費者側としては、不払いを防ぐためにどのような対応が可能なのでしょうか? 保険会社の内部で行われていることを把握するのはとても難しいので、まずは保険加入と言う契約の入り口部分が大切になります。具体的には、当たり前の話なのですが「正しい告知をすること」そして「保険の内容をよく理解した上で加入すること」が最も大切であると言えます。 明治安田生命のケースでは、不告知教唆(正しく告知をしないように営業員にすすめられたこと)があったのは事実ですが、それに乗って偽った告知をしたケースが非常に多かったようです。 また契約時の約款は必ず取っておきましょう。保険会社との契約内容は全て約款に書いてあります。契約後に約款を捨ててしまう人も多いようですが、後々トラブルとなった時のために約款は取っておいた方が無難です。 約款を読むことによって、たいていの場合支払いの可否が判断できるからです。 最近は生命保険会社の中には、情報開示の一環として苦情件数を発表しているところもあります。苦情が目立って多い保険会社は避けたほうが無難ですし、そうした情報すら開示していない保険会社は注意が必要です。 確実に不払いを避ける方法はありませんが、正しい告知と慎重な保険会社選びがその基本だと思います。 |
|
|
−「がん保険・医療保険選びのポイント!」トップへ−
|