〜「自分と家族を守るための保険選び」に役立つWEBサイト〜

 がん保険・医療保険選びのポイント!
presented by hossie
since June.1,2006
サイト概要 サイトの特長   お知らせ   リンク   profile
がん・医療保険の不払いについて
 保険を契約する側にとって、商品選びより何より大切なのは「保険金・給付金をきちんと受取れるかどうか」ということですが、この一番大切な点について、消費者の信頼を裏切る大きな出来事が起こりました。
 それは明治安田生命の保険金不払いを端に発した、一連の不払い騒動です。
 このページでは、保険金の不払いの内容と消費者(契約者)側の対応策について解説したいと思います。

●大量の不払いの発覚(2005年)
 2005年度の金融庁検査によって、明治安田生命における保険金の大量の不払いが明らかになりました。その主な内容は@平成12年度から16年度の5年間において、本来支払うべきであったにも関わらず、支払いがなされていない保険金等が1,053件あった A被保険者ががん告知を受けるまで、がんに係る給付金と一般給付金の差額等について、契約者等からの申し出がないにもかかわらず、同社の独自の判断により支払いを留保するという、約款の規定にはない取扱を行ったうえに、留保事由が既に消滅した後においても未払いのままとなっている給付金が1,450件認められた というものです。
 検査を行った金融庁の報告には、下記のように記されています。
(以下金融庁ホームページより抜粋)
 ●「死差益増の目標額(39億円)」を合併新会社における18年度の対13年度増益効果として設定し、経営統合
 委員会に報告した上で経営として了承し、決定した。このような方針を受けて、当社の保険金部が具体的な支
 払抑制目標を設定・管理するなどにより、「不払い優先の風土」が醸成されたと認められた。


 ●経営陣は、モラルリスク対策プロジェクトチームが支払抑制目標を設定し、進捗管理を実施している等の実
 態を把握せず、牽制機能を発揮していなかったほか、法務担当部に対する牽制・検証の必要性を認識せず、
 態勢も整備していなかったものと認められた。


 ●保険契約者保護に係る重要な事項である支払査定基準の改廃(重過失の適用範囲の拡大等)について、
 取締役会等の承認を得ずに保険金部長が決定し、担当役員への報告も簡単な要旨で報告されているに過ぎ
 ず、加えて担当役員からは特段の指示もなされていなかったものと認められた。


 ●経営陣は、支払関係の苦情件数が増加していたにもかかわらず、これを問題視することなく、投書等の形で
 直接に届けられた個別の苦情への対応を保険金部任せとするなど、契約者からの警鐘を正しく受け止めず、
 所要の実態把握や対策を講じなかったものと認められた。


 ●経営陣は、不適切な保険金等の不払いが詐欺無効以外にも行われていた可能性を認識していながら、詐
 欺無効以外も含めた適切な保険金等の支払管理態勢の確立などを内容とする業務改善命令の発出以降当庁
 の立入検査の開始に至るまで、詐欺無効に直接起因する諸課題に対する対応のみに終始した。このため組織
 体制や陣容の見直しを行い、経営資源を再配分するなどの抜本的対策を講じるべきところを、具体的な改善
 策等を作成・実施するなどの対応を何ら行っていなかったものと認められた。
 やや難しい表現になっていますが、特に問題なのは「保険金の支払いを抑制する具体的な数値目標を掲げており、不払い優先の風土が醸成された」ことと「不払いに対する苦情が数多く寄せられていたにもかかわらず、適切な対応を取らなかった」ことだと思われます。
 加えて営業員の不告知教唆(2年経過すれば告知義務違反をしても給付金は支払われるので、告知しない方が良いといった募集話法と思われます)を把握しておきながら、十分な対応を取らなかったことが問題となりました。


●保険金不払いによる影響

 上記の不払いの発覚を受け、金融庁は明治安田生命に対して、平成17年11月4日から17日までの二週間の業務停止命令を発しました。
 この事件により同社は顧客からの信頼を大きく損ね、二週間の業務停止という期間に相当する分以上の損害があった模様です。平成17年度の決算が厳しいものになったのみならず、その後も業績は低迷しています。
 最も大切な保険金の支払いに対する不祥事ですので、当然と言えば当然かもしれませんが、この事件を契機として同社のみならず他の生保においても不払いを防止するための対応が取られることになりました。

●新たな不払いの発覚
 明治安田生命の不払い事件のほとぼりも冷めかけた平成18年の秋に、今度は損保会社における大量の保険金不払いが発覚しました。直前に約26万件にも及ぶ自動車保険の不払いがあったのですが、それに続いて大手六社で医療保険・がん保険商品で不払いがみつかり、その件数は過去5年間で4.365件、金額にして12億2千万円にも上りました。
 損保各社はシステム体制の構築が不十分であったと弁明をしましたが、システムと言うと機会対応のようにも感じますが、査定は個別の判断が必要ですから1件ごとに人間が判断するものであり、不払いに対する恣意的な判断があったと疑われても仕方はありません。
 損保は自動車保険の不払いが186億円もあったうえに、火災保険の掛けすぎなどの問題も指摘されており、目に余る顧客軽視とマスコミからも糾弾を受けました。

●消費者(契約者)側の対応策
 消費者側としては、不払いを防ぐためにどのような対応が可能なのでしょうか?
 保険会社の内部で行われていることを把握するのはとても難しいので、まずは保険加入と言う契約の入り口部分が大切になります。具体的には、当たり前の話なのですが「正しい告知をすること」そして「保険の内容をよく理解した上で加入すること」が最も大切であると言えます。
 明治安田生命のケースでは、不告知教唆(正しく告知をしないように営業員にすすめられたこと)があったのは事実ですが、それに乗って偽った告知をしたケースが非常に多かったようです。
 また契約時の約款は必ず取っておきましょう。保険会社との契約内容は全て約款に書いてあります。契約後に約款を捨ててしまう人も多いようですが、後々トラブルとなった時のために約款は取っておいた方が無難です。
 約款を読むことによって、たいていの場合支払いの可否が判断できるからです。
 最近は生命保険会社の中には、情報開示の一環として苦情件数を発表しているところもあります。苦情が目立って多い保険会社は避けたほうが無難ですし、そうした情報すら開示していない保険会社は注意が必要です。
 確実に不払いを避ける方法はありませんが、正しい告知と慎重な保険会社選びがその基本だと思います。



−「がん保険・医療保険選びのポイント!」トップへ−